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社員旅行の税務

社員旅行の費用を会社が負担する場合、これを従業員に対する給与(経済的利益の供与)とせず、非課税とするという取り扱いがあることを御存知だと思います。これは所得税基本通達で定められていたのですが、この(平成5年)5月31日に一部が改正されましたので、説明することとします。


従来は次の3つの要件をすべて満たしていれば課税しないとしていました。


(1) 旅行に要する期間が3泊4日以内(海外旅行の場合は目的地での滞在日数)

(2) 旅行費用の50%以上を使用者が負担していること

(3) 参加する従業員等の数は全従業員等の50%以上であること


これが今回(1)が4泊5日になり、同時に(2)が削られました。


これは新総合経済対策に基づく景気刺激策の一環であるとされ、この結果として機内泊を含む4泊6日のハワイ旅行なども可能になったわけです。また(2)の要件が消えたために会社負担が5万円、従業員負担が10万円で海外旅行ということも可能になり、福利厚生予算が少なくても大きな旅行に行けるわけです。


ただしこの2つの要件は形式基準であるとされ、通達では「旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などを総合的に勘案する」という実質基準があります。これは、リクリエーション費用はもともと経済的利益の供与として給与課税する(所得税法36条)ところ、通達によりの例外を定めるもので、社会通念上あまりに過大な会社負担でない社員旅行だけを非課税としようという趣旨であるからです。


ここで問題となるのが、4泊6日なら旅行費用の総額も相当な金額になり、いったいいくらくらいまでが非課税なのかという点です。国税庁では4泊 5日の慰安旅行(総額25万円)で会社負担が10万円ならOKという例示を出しているとのことです。では15万円ならダメか?というと、これも微妙なところです。実例としてはハワイ旅行で総額25万円の費用を全額会社が負担していた場合(ただし旧通達当時)で、税務調査時に過大であると指摘を受けたものの、経理担当の説明の結果として更正には至らず(要するに課税されずに)に調査が終了し た会社もありました。


通達は、税務職員の判断の目安であって、法的な拘束力がないだけに、最終的な結論は、会社の状況その他によって異なってしまうと言わざるを得ません。とにもかくにも、社員旅行がより豪華になるかもしれないお話でした。

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