経営の話
niftyserveに連載した経営に関する話
株式公開のメリット
昨年は、100社を超える会社が証券取引所に上場または店頭市場に登録され、 今年も昨年を上回るペースで公開が進んでいます。そこで今回は株式公開のメリットとデメリットについて書いてみます。
◎メリット
- 資金調達力が増大し、財務体質が充実する。
株式を公開すれば、いつでも公募増資ができるので、資金調達の手段が拡がり、その結果として財務体質が充実することになります。 - 社会的信用力が増し、知名度が向上する。
公開会社であれば、取引先からの与信限度は無制限になり、取引に際して保証金を積む必要もなくなります。また日々新聞の株価欄に社名が載るだけでなく、マスコミ等に取り上げられる機会が増えるため会社の知名度が上がります。 - 人材の確保とモラルの効用に役立つ。
社会的信用のある会社ということで優秀な人材が集まり易くなり、また就業してからも、会社への誇りをもってもらい易く、高いモラルが期待できます。 - 組織的な経営や管理体制の充実が図れます。
株式公開に当っては、会社が組織的に経営されているかについてチェックされます。一部の優秀な人間によって伸びている会社ではその人材がいなくなることで 会社の成長が止まったりする恐れがあるからで、そのため株式公開を目標として経営の組織化や内部管理の整備を進めることができます。 - 法人税の課税の適正化が図れる。
非公開会社の大部分は、利益の社内留保に対して課税される同族会社です。公開することにより、非同族会社となることができ、課税上の不利な取り扱いから脱却することも可能です。 - 株式の流通性が増し、売却により創業者利得を実現できる。
会社の株式の流通市場ができることで、株式をいつでも公正な価格で売却することができます。これにより市場での株価と創業時などに出資した額面との差額である創業者利得を実際の資金として現実のものとすることができます。 - 株式の譲渡益に対する税法上の優遇がある。
公開会社の株式の売却益に対しては申告分離課税と源泉分離課税の有利な方を選択できるという優遇処置があります。また株式公開時の売却利益に対しては13%の申告分離課税が適用され、優遇されています。
◎デメリット
- 投機的な取引や株集めへの対策が必要になる。
株式が公開されると言うことは誰でも株を買い集めて株主として発言することができます。株価の高騰を招いたり、乗っ取りへの警戒が必要になります。
ただし公開準備の過程でオーナーの主導権を維持できる株主構成を確保するよう綿密な対策が用意されます。 - 株主総会対策等株式事務が増大する。
いわゆる総会屋の登場もあり得ます。 - 企業内容の開示義務が生じます。
決算短信の発表、有価証券報告書の提出など、タイムリーな情報開示が必要になります。迅速な経理集計が必要となりますが、半面経営者にとって必要な情報も速やかに報告されるメリットもあります。
ということで、少ない行数で十分にはまとめ切れませんでしたが、ご質問等があれば、お問い合わせフォームでお寄せください。