スリープロ株式会社代表取締役社長・高野 研さんとの対談集
第15回「経営資源について-かね-個人と組織の資金調達の違い」
佐久間:
仕事って、一人でやるときが一番効率がよいのですよね。
だって、管理資料も何も要らないので、お金を生む仕事だけして、後は自分の頭の中で管理しちゃえばよいので。でも、組織として仕事をするには、どうしても契約書も必要だし、経理の仕組み、組織的な運営、予算などが必要になるんですよね。高野:
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そういう意味では、単に資金という意味だけでなく色々な意味で助けてもらったと思っています。投資して貰う前は、禿げ鷹のような金融屋なんか絶対儲けさせてやらないと思っていたんですけどね(笑)。結果的には彼らの投資、支援無しには今は無かったのかなと思っています。
佐久間:
確かにベンチャーキャピタルって、傍目には伸び盛りの会社に無理やりお金を入れさせてもらって、公開して増えたら売却するという人の褌で資金の増殖をするような仕事に見えなくもないですものね。でも、ちゃんとしたところはそうじゃないというのがわかったということですね。
高野:
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後は話は変わりますが、資金調達は経営者の最大の仕事だなとつくづく感じます。資金調達すると、翌月~半年くらいの業績がガクンと落ちるんですよね。理由 は単純です。トップセールスである社長が営業先じゃなく投資家に向けて、もらえるかも分からない資金の為に東奔西走してるんですから……。当時は営業も傍 らやってたつもりでしたが、振り返れば、それによるパワーダウンは大きかったんじゃないかなあと思っています。
実は株式公開する2年くらい前まで、同様の感じが続きました。日本のベンチャーキャピタル一覧とかいう雑誌買ったりして、上から下まで全部電話したりして ました(笑)。今になってみれば、毎日金策してたような感じでした。が、逆に、だから今、投資家に説明するのはそれほど苦じゃないなあとも感じてます (笑)。 佐久間:
組織的な経営体制に持っていく上での一番の苦労ってなんだったでしょうか。株式公開の準備スタート!という会社でよくあるのが、支出3万円以上社長決裁みたいなルールで、これじゃ職務分掌も職務権限もありえなかったりするんですが。
高野:
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当社は5万円でした(笑)。やはり難しかったのは、会社の良さを残しながらもきちんとルールを定めていくことだったと思います。公開準備は受験対策だと言 いながらも、我々は公開後も会社として組織としてきちんと機能する規定、組織作りを目指しました。そういう意味では、形だけ整えるというのではなく、実態 に即した、会社の強みを活かした、かつ上場企業として相応しい組織、規定にすり合わせるという作業は、非常に複雑で面倒でした。もちろんやっている中でど んどん変化していきますし。けれど、そこでのすり合わせがそれなりに出来たので、今もきちんと運用される規定が整ったんではないかなと思っています。