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便利な資料室談話集

便利な資料室

スリープロ株式会社代表取締役社長・高野 研さんとの対談集

第4回「スリープロの事業とベンチャー論」

佐久間:

前回は、社外にエージェントと呼ばれる人員を持つことで、全国対応や業務量の変動に対応し、基幹システムによるシステム管理で1日千件といった業務処理を可能にするというスリープロのビジネスモデルを伺いました。こういう事業構造は、最初から考えられていたのでしょうか?

高野:

いえ全く考えていませんでした。学生ならではというか、学生らしいというか自分でも笑ってしまいますが、始めた当時はそれほど高尚なことは全く考慮外でした。
ただし、私は単純というか、若かったので可愛がって貰えたという部分もあるのですが、創業前、一番最初に相談した町のパソコンサポート屋さんに言われたの が、“3年間続けられるようにしろ”というのと“社長が自分でやっちゃだめだ”という2点でした(後から考えるとその横には起業入門書がズラリ並んでいて そのマニュアル通りのような気もしますが……)。忠実にその言葉を守って、この事業しかやらず、そして自分でやらないためにどうするかと考え、誰かに動い て貰おうという事で今のエージェントシステムを考えました。考えたというより、言われてそのようにした(今考えればたぶん違う意味なんでしょうけど)とい う感じです。
結果、それは間違いではなかったので今は本当に創業時から御世話になった方、叱咤激励、あれやこれやとご指導頂いた皆さんも含め感謝をしています。

佐久間:

なるほど。3年続けるのと、社長がやっちゃ駄目……というのは大事ですね。経営だけでなく、会社員だって、管理職になってきたら自分でやってたら駄目だ し、石の上にも3年です。そういう創業時のいろいろな方からのご指導なども背景にあったから、キーマンアットニフティのゲストコラムでも『感謝』という言 葉が出てきたんですね。
実は、高野さんを始めとする学生ベンチャーには当てはまるとしても、ダイヤルQ2からネットベンチャーへと転進した上の世代のベンチャーにはマッチしないような気がしていたんです、あのコラム。

高野:

成り上がり的ベンチャーは、ある意味の理想形では無いでしょうか。本当の実力なのかもしれないし、天性の運かもしれません。ある意味、バブルの時代には理想形がもて囃されている気がしますが、成功確率を高めるものでは無いような気がしています。

佐久間:

『理想形』ですか。ま、きれいな絵を描いて、その絵を現実のものとするのも実力かもしれませんよね。ヤフー、楽天みたいに順調そうなところは、事後的に実 力あったんでしょうし、リキッドオーディオやクレイフィッ シュみたいに失敗しちゃったところもあるわけですね。まだ、実力の有無が未判明のところもある ということですか。

高野:

そうですね、結果だけ見ればブームには上手く乗って波の最高潮に来た、という感じでしょうが。けれど問題は波が無くなったとき、本当にその絶好調を維持し続けられるかどうか、が一つの”ホンモノ”かどうかという所なのでは無いかと思います。
極論で言えば、絶好調の時って誰がやっても、何をやっても、何が起きても全てが肯定的に捉えられ、凄い、珍しい、過去最大、過去に類を見ない・・・と賛辞が贈られます。
ネットバブルの時って正しくそんな感じでしたよね、人の王道を外れた方が良いみたいな(笑)けれど、一度、フォローの風が止んだとき、もしくは逆風が吹き はじめたとき、賛辞だったはずが、無謀、無知、無計画、未熟、と全て逆に言われてしまう・・・。少なくともスリープロはそういう意味では、無謀、無知、無 計画と言われ続けて来たので、アゲインストな風がようやくフォローに変わりつつあると言う感じです。
つまりは成り上がりベンチャー的要素は余り持っていないと思っています。

佐久間:

スリープロは、1件ずつ地道に売上を積み上げる商売で、ASPのシステムなどを作ってしまえば、あとは利用者が増えるだけ利益だ・・・というネットベンチャー的な目で見たら従来型企業ですよね。パソコンユーザーの活用度合いが増すほどニーズは増える側面はありますが。

高野:

これもある方から教わったのですが、『嘘をつくことと騙すことは違う』という事を教えられました。成り上がりベンチャーを目指す人の中には明らかに騙す事を目的に投資を呼び掛けたり、色々と社会問題化したりしています。
けれど多くのベンチャーを起こした人間は、多かれ少なかれ、成り上がる為の嘘は付いてると思います(笑)その差は単純です。その行為によって相手に迷惑を かけることを前提としているか否か。ここって経営者のポリシー一つなんだと思うのですよね。騙すつもりでも結果として上手く行くこともあるだろうし、軽い 嘘で結果オーライを目指したにも拘わらず本意でない結果になることもある。リキッドやクレイフィッシュがどうだったかは分かりませんが、結果だけでは判断 し難いという事です。
もちろん成功したライブドア(エッジ)や楽天もそうだと思います。ビジネスは結果が出てナンボと言われますが、経営者は結果もあるがプロセスも大事ではないかなあと個人的には思っています。

佐久間:

たしかに詐欺と嘘は違うし、方便の範疇の嘘と大法螺も違いますよね。でも、それがごっちゃになっている経営者もいらっしゃるし、小さな方便がたまたま裏目に出て詐欺師呼ばわりされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
そういう意味では、周囲の人の喜びと共に会社を成長させる誠意があるかないか、それがプロセスという意味なのかもしれません。ベンチャーに限らず、建前だ けじゃ生きていけないとか言いながら大嘘ついている社長さんもいらしたりするけど、周囲を蹴散すだけのものと見ていたんじゃ駄目なんですね。

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