佐久間税務会計事務所 |
バーチャルカンパニー経営術ASCII月刊「netPC」連載記事
◆ビジネスマンのための――バーチャルカンパニー経営術 第5回 ソフトウェア開発会社のリスク■■あるソフト開発会社の倒産
SOHOを起こそうと考えられている方には、システム、ソフトウェア、ネットワーク関連の業種を想定されていることが多いように思われます。急速な技術進歩によりパーソナルコンピュータの用途は飛躍的に広がっており、関連市場は急速に拡大しているように見えますし、ネットワークを活用しないとホワイトカラーの生産性は上がらないなどと喧伝され、日本においてはそうした流れとのギャップが見られることで、そこに新規参入の余地があると見えるからでしょう。現在のソフト関連企業を見ても、CSK、カテナ、メイテックなどは、コンピュータというものが日本に入ってきた当初の頃から入力サービスに目をつけた昭和40年代生まれの会社であり、アスキー、スクウェア、エニックスといったゲーム機やパソコンを対象とした会社が昭和50年代に生まれているわけです。こうした流れから見ても、この数年の間に生まれた会社が20年後、30年後に大きな会社に成長する可能性は大いにあると考えられます。 ■■ソフトウェア会社の脆さ(もろさ) ソフトウェア開発会社は、一般的な製造業の中小企業と比べると体質的な弱さを持っていると私は考えています。それは、ファブレスであるということ、すなわち工場を持っていないため、土地・建物・機械といった担保価値、売却価値のあるものを持ち得ない業種であるということです。ご存じの通り、日本の中小企業は、必要な資金は銀行から借りてこなければなりません。その銀行の融資は、担保第一主義であることもご存じかと思います。ところがこの担保、ソフトウェア会社には何もないということなのです。 しかし、いくら成長産業のソフトウェア業界でも景気の良し悪しはありますし、業務ソフトの開発であれば、販売先の業績にも左右されます。それでも赤字にはできないとなれば、粉飾決算で黒字を出すしかありません。 ■粉飾の手法 ソフト開発会社の経理の人と話をすると「私たちの業界は新しい業界で、経理も特殊なんですよね」とおっしゃいます。しかし、私に言わせれば、建設業と非常に似たところがあり、建設業の経理にヒントをもらえば、十分健全な経理をすることができます。 例えば、建設業では、下の図のように工事の完成前に施主からお金を受け取りますが、工事が完成しないと工事原価が確定しないため、売上とはせずに前受金としておき、完成引き渡しにより売上を計上します。得てして、本体の工事が終わって、内装工事が始まったあたりで、施主の方から「ちょっとイメージが違うから、ここを直せ」なんていう指示があったりするので、完成前の原価は特に読みにくいように思います。工事の進行にあわせて売上を計上する基準もありますが、我が国においては、完成時に売上、原価ともにセットで計上するのが一般的です。 【図1】建設業
![]() ソフトウェアの開発工程も建築と同じように考えることができます。 【図2】ソフトウェア業
こういう形態の時に、粉飾決算をやりたいと思うと、1/3の入金の時点で、売上を計上してしまえば利益が出ますね。基本設計は、コーディングの段階に比べて、スキルの高い人材が作業をしますから、人件費の単価は、高いものの工数は多くありません。全体の1/3の売上に対して、この少ない工数の原価を対応させれば、非常に高い利益率の売上が誕生してしまいます。また、期末の段階でコーディング終了の段階にあるオーダーであれば、売上高は、全体の2/3が計上され、人件費は、コーディングまでの分が計上されます。しかし、実際には、テストをしてみたら、バグがあってぜんぜん動かなくて、総動員でバグつぶしをするようになるかもしれないのです。そうすると来期、残金分だけの売上とバグつぶしに総動員された人件費が計上されるとおそらく赤字でしょうから、赤字が来期に繰り越されるという結果になります。 |