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バーチャルカンパニー経営術

ASCII月刊「netPC」連載記事

◆ビジネスマンのための――バーチャルカンパニー経営術

第4回 SOHO開業に向けての話

■■個人事業で行くか会社で行くか


今回は、SOHOを起こすとしたときにいろいろ考えるべき事柄について触れてみます。まずは、SOHOは個人事業の形態にするのか、会社の形態にするのかという問題です。そこで個人事業と会社の違いについて触れてみたいと思います。


■個人は一代限り、会社は永遠

「人格」というと一般的には「高尚な人格」とか「人品」をイメージしますが、法律的には、権利や義務が帰属し得る主体のことをいいます。会社は、この人格を持っていますから、会社で事業を行うということは、商品、設備、借入金、成果(儲け)などすべてが会社に帰属するということを意味します。反対に個人で事業を行うということは、借り入れも個人の借財であり、従業員との雇用契約も個人間の契約ということになります。
ですから、個人事業の場合、経営者が死亡すれば、相続という過程を経なければ、その子供が事業を引き継ぐことはできません。親族以外の人が事業を引き継ごうとするなら、相続人から事業の資産負債を買い取らねばなりません。個人は一代限り、会社は永遠というのが根本的な違いだということになります。


■会社はビジネス用の仕組みになっている

個人事業の場合、ビジネスに関わるすべてが個人に帰属しますので、すべての経営行為は個人が行わなければなりません。すなわち、販売の契約も雇用契約も店舗の賃貸契約もすべて個人が契約者になる必要があります。これに対し、会社は株主総会や取締役会といった「機関」を持っています。そして、「取締役」が業務を執行しますので、重要な事柄は株主総会や取締役会で合議により決し、日常的な取引行為は取締役が行うことになっています。ですから、営業担当取締役に権限を与えておけば、販売の契約については営業担当取締役の決裁で物事が進みます。すなわち、会社は大規模な事業の遂行に対応できる、組織による経営を想定した仕組みが法律により用意されているのです。


資金調達にしても、個人事業であれば、本人のお金をつぎ込む(元入金)か借り入れるかの2つしか手段がありませんが、会社であれば、経営者本人だけでなくその会社に期待する人からの出資(資本金)による調達、借り入れによる調達、社債の発行といった調達手段があります。さらに株式会社であれば、株式市場において不特定多数の投資家から資金を調達するような仕組みまで用意されています。
そして多くの出資者が存在することの裏返しとして、株式会社、有限会社、合資会社においては、出資者はその出資した金額を限度とする有限責任の制度があります。すなわち万一会社の経営が立ち行かなくなった場合でも、出資者は出資した金額が戻らないだけで、それ以上の責任を負うことはありません。これに対して、個人事業では経営者としてすべての責任を問われることになります。


■信用力が違う

こうした仕組みの違いから、個人事業は小規模の事業形態であり、会社は小規模から大規模までのあらゆる事業に対応した形態になっていることがわかります。それゆえ、世間の信用も会社の方が一般的に高いとされています。具体的には各種公的制度融資も会社向けの方がより充実していたり、大きな会社に取引口座を開設してもらうためには個人では駄目であったり、建設業の入札資格などの審査でも会社の方が高い評点が付けられるといったことが見られます。
また、人材の調達を考えても、就職するなら個人企業より会社の方が安心となれば、優秀な人材は会社の方が集めやすいといえるかもしれません。この人材の獲得に関していえば、会社であれば優秀な人材を得るための手段として雇用契約だけでなく、取締役に就任してもらうという方法があります。経営者の一人として参加してもらえるという点で、意欲の高い人材を得る方法を持っているといえましょう。


■租税負担の違い

上述のような話も重要ですが、これから独立しようとする方にとっては所得税と法人税とでどのようにかかり方が異なり、それにより税額の面で個人と会社のどちらが有利なのか?という点に関心があるかもしれません。
個人事業では、所得税、住民税(都道府県民税と市町村民税)と事業税を所得の額に応じて支払います。また、仕事を手伝ってくれた家族に専従者給与を支払うことができますが、その場合事業者の所得は減りますが、その分家族に所得税と住民税がかかります(ただし、専従者給与は事業者が青色申告で提出しており、その事業に専ら従事していないと経費として認められませんので若干制約があります)。
これに対し、会社の場合、法人税、住民税、事業税を所得の額に応じて支払います。そして社長や取締役である家族がもらった役員報酬に所得税と住民税がかかります。そこで、これらの合計額が事業の所得額によって、あるいは給与の額によってどちらが有利になるかということを検討しなければなりません。この検討のために、税金について勉強することにいたしましょう。

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