勉強会「ベンチャーへの転職」の抄録
【第4回】 「人の流れが変わってきた」
辻口:
(前号まで:1994~95年、日本インベストメント・ファイナンス(NIF)は、中小企業・ベンチャー企業専門の紹介会社として積極的にアピールを始めたのだが…)
ところが、中小企業というのは説明するのが面倒くさいんです。安田生命です、ソニーです、松下ですと言うであれば企業の説明は簡単ですよね。それに転職希 望者の方が我々をよくご存じなくても、ソニーを紹介するんですからいいわけですよ。ところがうちで扱っている中小企業さんというのは、「この会社はこうい う会社で、今こういう状態で、社長はこういう人で、今後こうしていきたいと思っているんだけどなかなかうまくいってないんだよ。あなたはここにいいんじゃ ないかと思うんだけれどどうかな?」という話をして、「でも、給料は意外と渋いんだよね」という話なんです。面倒くさいんです、やってみると。
「あ、これは絶対リクルートとか、他の紹介会社ではやらないな。」と思いながらやっていて、結果的には他の紹介会社がやらないので今度向こうから、中小企 業の方から、「そういえば何かおたく、ウチみたいな中小企業専門の紹介会社らしいね」ということで依頼が来る。そうすると今までダボハゼみたいに、「人を とりませんか、人をとりませんか」と聞いて廻っていたのに、向こうから相談が来るようになった。
それと、「中小ベンチャー企業専門の人材紹介会社」と連呼していたら、今度はベンチャー企業に行きたいという人も来るようになった。今までは、「人をとり ませんか、転職をしませんか?」と言いながらうろうろしていたのが、コンセプトを明確にして待っていると、すっと入ってくるんです。これはいいビジネスだ な。でも、その分手間かかるな。それにベンチャー企業の経営者はいいかげんなやつも多いんです。与信なんかも大変ですしね。初めのうちは「ベンチャーの社 長ってスゴイ」と思ってやっていたんですけれど、だんだん「何だ、大した事ないや」みたいな感じになってきて(笑)、結果的に経営者に対して臆さずに、同 じ目線で話しながら人材を紹介するようなスタンスになってきました。