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電子帳簿の保存要件

中央経済社「税務弘報」99年1月号
特集 電子帳簿の活用と税務調査への対応

(4) それぞれの保存要件について
上記(1)から(3)を要約すると、以下のようになる。


保存要件 帳簿 書類 電子取引
[1] 電子的記録事項の訂正又は削除の履歴の保存 - -
[2] 追加入力の履歴の保存 - -
[3] 帳簿間での相互関連性の確保 - -
[4] システムの概要書類の備付け
[5] 閲覧装置、操作説明書の備付け
[6] 取引年月日、勘定科目等による検索機能 △※ △※

* 書類、電子取引については、日付による検索のみ


このように書類及び電子取引についての保存義務は、帳簿ほど厳しくはない。本来、これらを電磁的記録により保存しようとすれば、利用者として必然的に必要となる要件であるともいえる。


3.各保存要件の吟味

では、それぞれの保存要件は、具体的にどのように考えればよいだろうか。以下、個別に検討する。


(1) 電子的記録事項の訂正又は削除の履歴の保存

帳簿の電子保存に課されたこの要件は、多くのパソコンソフト、あるいは会計専用機で実現されていないだけに経理担当者、税理士に批判的に受け止められたように思われる。しかし、追加入力の履歴の保存と並んで、手書きの帳簿が持っていた内部統制機能をコンピュータ処理による経理にもたらすという意味では当然の規定である。手書きの帳簿では、訂正をする場合には、「二重線で削除して、訂正印を押す」といった手続がなされてきた。すなわち、訂正又は削除の履歴の保存は、税務調査のためだけでなく、経理担当者の不正行為を発見防止するために経理システムが保持しなければならない必然的要件であるという捉え方をすることもできよう。
訂正又は削除の履歴について施行規則では、「当該国税関係帳簿にかかる電磁的記録の記録事項について訂正または削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。」としか規定はしていない。これのプログラムの仕様における具体的な実現方法としては、下記のような方法が考えられる。


@電磁的記録の記録事項を直接に訂正し又は削除することができるシステムで、かつ、訂正前若しくは削除前の記録事項及び訂正若しくは削除の内容がその電磁的記録又はその伝自適記録とは別の電磁的記録に自動的に記録されるシステム(電子帳簿保存法取扱通達4−6(1))。
A電磁的記録の記録事項を直接に訂正し又は削除することができないシステムを使用して、訂正や削除は、取消伝票(赤伝)で訂正削除したいデータの反対仕訳 を入力し、本来の仕訳を新たに入力する。これにより帳簿の上で、必然的に訂正削除の記録が見えることになる(同通達4−6(2))。
B訂正や削除を行った場合、当該訂正削除データについての反対仕訳のデータが自動で記録され、訂正後のデータは、本来の仕訳が初めて行われたように記録されることで、そのまま帳簿上でその経過が見えるようにする。
C電磁的記録事項の誤りを是正するための期間を設け、当該期間内に記録事項を訂正し又は削除したものに限り、その訂正又は削除の事実及び内容にかかる記録を残さないシステムを使用する(同通達4−7)。


経理システムの内部統制という観点からは、Cよりも「入力後、上長の承認を得るまでの期間に訂正を行った場合、当初のデータは訂正後のデータとして上書き され、削除の場合、削除されたデータは消滅するが、承認を得た後のデータについては、上述の@〜Bの方式で履歴を残す。」といった方式が認められるべきで ある。しかし、この場合、意図的に承認を行わずに期末まで持ち越せば、いくらでも訂正削除ができることになる。これを防ぐために通達では、「入力した日か ら1週間を超えないものに限る」としてCの方式を挙げたのだと理解できよう。


(2) 追加入力の履歴の保存

入力を通常の期間を経過した後に行った場合の履歴を保存することも、上述のように経理システムの保持すべき要件の1つである。これの具体的な具現方法として、同通達4−8では、「電磁的記録の記録事項の入力時に『取引年月日』のほかに『入力年月日』又は『一連番号』等が自動付番され、それを訂正し、又は削除することができない仕様となっていること」という方式が例示されている。当然、帳簿画面等で入力日や一連番号を視認できたり、あるいは入力年月日等をキーとして、取引年月日から一定日数を超えて入力されたデータの一覧を出力できるような仕様の用意はすることになる。また、取引年月日から一定の期日を経過して入力された取引について、帳簿上何らかのマークが印字されるといった仕様でもかまわないと思われる。
この他、月次決算の更新手続を定め、月次更新のあとは、それ以前の月についてデータの入力をすることはできないようなシステムの仕様とすることも追加入力自体を不可能にするという点で、施行規則の要件に反するものではないと考える。ただし、月次決算が機能していない会社においては、月次更新をしないままに後の月の取引を入力するようなこともあるだろう。したがってあらゆる企業において、適用できる方式ではないことは意識しておくべきである。
税理士事務所では、顧客との契約によっては、年間の取引を決算時に一気に入力するといったこともあるが、こうした場合、すべての取引が通常の期間を経過した後の入力になる。こうした入力方式ができないシステムの仕様でも困ることになる。

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