佐久間税務会計事務所

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会計帳簿の電子保存

ぎょうせい「税理」(日本税理士連合会監修)98年6月号
特集 社会システムの変革と税理士の対応
2 変革に対する税理士の対応

筆者が本稿を作成している段階では、電子帳簿の保管場所としての「納税地等」(帳簿電子保存法案第2条5号)に保存義務者の関与税理士事務所が含まれるかどうかは不明である。もし、税理士事務所での帳簿保存が納税地等での保存に該当しないとなれば、税理士の業務形態にとっても極めて大きな変動がもたらされる。しかし、私見ではあるが、大企業が情報システム部門を本社と異なる場所に置いている場合やコンピュータ処理については情報処理子会社を持っている場合などと同様に税理士事務所も納税地等に含まれると考える。そこで、以下では帳簿の電子保存を税理士事務所で行うことを前提として、税理士の対応について触れようと思う。
帳簿の電子保存が認められたことで今後コンピュータシステムの重要性がより増すことになろう。なぜなら、従来のシステムは、帳簿を作成する機能を持っていること主がであり、年間の決算終了後1〜2年を経過すれば、保存データを参照することはなかった。したがって、保存の機能が意識されることは、ほとんどなかった。しかし、帳簿の電子保存が行われることで、コンピュータシステムにおけるデータ保存機能が重視されることになる。万一データが失われるようなことがあれば、会社に存在すべき帳簿が失われるということであり、取り返しのつかない事態となるからである。


会計に関するコンピュータの機能

コンピュータの機能 会計における機能
@ データの入出力     
A データの計算、加工、検索 
帳簿の作成機能
B データの保存  帳簿の保存機能  

税法での保存義務は最長7年間、商法のそれは10年間である。となれば、帳簿データは、これだけの長期間にわたって、安全に保管されることが必要となる。データの互換性がなかったり、操作体系が異なるシステムに移行する場合には、従来は紙による帳簿があったため、旧システムやデータは廃棄することができた。しかし、電子保存をしている会社ないしは税理士事務所では、旧システムも廃棄できないことになる。リースにより調達したシステムであれば、リース期間が終了し、使用しなくなった段階で再リースをせずにシステムを返却・廃棄することができた。しかし、保存義務が出てきたことで、10年間が経過しない限り使わないシステムについて再リース料を払い続け、設置場所の確保するというコストが発生する。これは前節で指摘した通り、帳簿電子保存法について十分な検討時間がなかったために出てきた問題点の1つである。


また、システム自体の安全性もより高いものが要求されることになる。従来行われているデータのバックアップは、現在進行中の会計年度のデータについて過去の入力作業が無駄にならないことが最大の目的であり、完了した会計年度分のデータが失われることがあっても紙の帳簿を見ることができた。したがって、フロッピーディスクでもストリーマと呼ばれる磁気テープでも保存に際して特に心配することはなかった。ところが、フロッピーディスクの寿命は案外短く、2〜3年で読み込み不能などのエラーを発生するものが出てくると言われている。また、磁気テープでの保存も温度変化による伸縮の可能性があるため、何年も使用しない形で保存し続けた場合のエラーの発生は保証の限りではない。また、紙の帳簿は、雨漏りで紙が歪むことがあっても見読可能であるが、コンピュータシステムの場合、データが失われることを覚悟しなければならない。データの保管を2か所で行うといった対応も現実に検討するべきかもしれない。


さらに帳簿の電子保存に際しては、プログラムの概要等の文書の保存も求められる。この場合、プログラムの概要に変化があれば、それぞれの年次毎に文書の保存が必要になることはいうまでもない。あるいは顧問先がEDI取引を行っていれば、その取引データの電子保存も義務づけられているし、加除・訂正の履歴が残らない会計システムは、電子保存の要件を満たさない。システム面で企業がどのような対応をしているのかを知らなければ、税理士としてその企業が税法の求める要件を充足しているかを確かめることができない。また、この過程において、税理士が情報システムについての助言をする必要が出てくることもあろう。税理士も、情報システムについての最低限の知識を習得することが不可欠になってきている。

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