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「帳簿書類の保存等の在り方について」報告書について

月刊「税理」ぎょうせい刊1997年7月号

■具体的な問題点

以下、報告書の内容について私が問題だと考える項目について個別に取り上げる。


(1) 電子データのよる保存を行うことができる帳簿書類の範囲

報告書では、仕訳帳、総勘定元帳等の各種帳簿や取引の相手方に紙で交付する領収書、請求書等の控えについては、電子データによる保存を認め、一方、相手方から紙で受け取る領収書、請求書等及び手書きの帳簿については電子データによる保存の対象からは除外することが適当であるとしている。
除外する理由として、@紙には紙質、筆跡、書き込み等の情報が記録されており、税務調査上の重要な着眼点であり、A脱税事件の調査、立証の観点からすると、証拠収集上問題が多い、B納税者においても取引先とのトラブル防止や内部牽制上オリジナルの保存が必要であるという点を挙げている。


しかし、請求書等の量の多さこそが帳簿保存や事務処理の効率改善のネックの1つであり、それゆえ請求データを通信回線で仕入れ先から受け取るような取引手法が日常化してきている現実に目を向けていないと言わざるをえず、紙で受け取った請求書等をスキャナで読み取り電子データで保存しても筆跡や書き込みは保存できることを見落としているように思える。また、取引先とのトラブル防止や内部牽制上は、取引時点から半年から1年間の保存でもその目的を達するのであり、5年から7年にわたる長期間の保存を求める税務上の要求とは企業にかかる負担が異なることに留意すべきである。


(2) 可視性の確保について

電子データは、紙の帳簿と異なり、データ自体を直接視認することができないため、ディスプレイ、プリンタ等の見読可能装置の確保は重要である。しかし、報告書では電子データの保管場所についてまで納税地等に保管することが適当だとしている。大企業においては計算センターを本社と別の場所に設置したり、中小企業が税理士事務所に経理処理を委託していることは多く見られる経理処理形態である。税務調査の際に計算センターのデータに通信回線を通してアクセスしたり、税理士事務所のノートパソコンで帳簿データを見たり、帳簿を出力するのでは駄目だということなのであろうか。納税地等に保管すべしという現行規定が高度情報化社会にマッチしなくなっているという発想が欠けているように思える。


また、「データについては、番号、取引年月日、勘定科目等をキーとして検索できるような形で保存される必要がある」という記載や「(データについて)システム上訂正・加除の履歴が確保されていることは、データの真実性を高める上で特に重要である」という記載が見られる。しかし、現行法上では紙の帳簿では帳簿間の照合ができることは帳簿に求める要件として理解できないでもないが、検索可能性や訂正・加除の履歴は求められていない。これは、冒頭で述べた「帳簿システム自体」の保存を求める考え方から出てきたものと思われる。
また、システム変更などがあった場合についても「旧システムで作成・保存された記録についても、明瞭にディスプレイ上で確認できるとともに、プリントアウトできる処置が講じられるべきである」という記載があるが、もし、これが検索が可能であったり、データの訂正・加除の履歴を残すことまで要求するものであると解するならば、企業はハードウェアの入れ換えを行った場合にも旧システムを廃棄することができず、設置場所の無駄やリース料の支払いなど過重な負担を課せられることになろう。

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