佐久間税務会計事務所

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ベンチャー企業の経営管理

東京総研株式会社主催
「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」講演録
V 破綻を起こしやすい誘因について

このように述べてきたわけですが、そもそもなぜこんなに破綻してしまうのかという話でした。ベンチャー企業というのは、私なりの定義ですと、「急成長を志向する零細企業、ないしは急成長を志向するオーナー企業である」ということなので、中小企業の経営管理、それから逆に伸びた後の大企業・中堅企業の経営管理のようなものがちゃんとできていれば問題ないですが、急速にその両極端に進化していくから破綻してしまうのではないか、というのが私の想像です。



V- 1 中小企業・零細企業の経営管理

では、なぜ零細企業のほうは破綻しないのか。たとえばの事例を二つ挙げますと、零細企業というのは全部社長の目が行き届きます。最近流行りのキャッシュフロー経営というのも、毎月給料支払い前、20日くらいの預金通帳の残高に先月の請求書発行額を加え、それから月末支払い予定の振込依頼書の合計金額と給料の額を引くと、今月の資金が足りる足りないはすぐに見えます。社長が通帳を抱え込んでいたり、社長が経理に行って通帳見せろと言えばすぐに見れますし、社長が面倒になってくると、経理の人にこういう集計表を作りなさいと言えば経理の人は作りますから、これができるんです。受注金額を乗せて粗利をかけ、そこから月々の経費を引くと、予想のキャッシュフローの数字が見えてきますし、そこから減価償却費を引くと当期の年度利益が出ます。売上が5億・10億という零細企業ですと、帳簿を見なくても、今期の売上はこれぐらいで利益はこれぐらいだというのが、誤差10%ほどで当たったりするんです。記帳代行や帳簿作成のアウトソーシングでやっている会計事務所の人間としましては、すげえなという感じがするくらい、現金の動きを見ていると読めてしまうということです。で、その程度の取引量だということがある。


建設業の事例では、建設業の経営管理というのは、工事契約書を作った段階でもう見えます。見積書を作る段階で材料費はこれくらい、外注の下請業者にこれだけ払うとこの建物できるなとわかる。だから、いくらで作りましょうという契約を結べるわけです。その契約書を結んだ段階で、これでいくら儲かったなというのが読める。あとは、工事が進んでいる段階で異常なトラブルや遅れ、仕様の変更で原価がかさんだということがない限り、予定通り積算した時の利益が出てきます。積算した工事を何件やったかを足していくと今期の利益が読めてしまいますから、当然積算の段階で社長は口を出し、下請業者に納期遅れその他ないようにハッパかけます。全部社長が目を通していますから経営管理ができており、経理は絶対に破綻しません。受注管理がちゃんとできて、安くていい工事をするところに発注しますから、発注管理もできており、当然会社もうまく回るわけです。回らない場合は、社長が博打をやっているとか女がいるというパターンで、まともに経営すれば建設業というのはボロ儲けできる業界なわけです。宵越しの銭は持たないという人が今までやっていたから伸びない業者もあったわけですが、社長が酒飲まないなど真面目だという業者は、この5年間は別として、節税策に苦労したという苦労しか知らない社長ばかりだと、私は思っています。

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