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勉強会「ベンチャーへの転職」の抄録
ビジネス創造フォーラムメールニュース 2002/8/30(VOL.48)〜2003/1/28(VOL.58)掲載
【第9回】 質疑応答4「一番やりがいを感じる瞬間とは」
| 辻口: |
(質問者からの「今と逆なんですけれど、こういう人を紹介して会社が変わったとかいうようなのは、どんな例がありますか?」を受けて)
それはもう数多く経験していまして一番やりがいを感じる瞬間なんですね。具体的な社名でいうと今週の火曜日も社長と酒を飲んだんですけれどTOWという会社があるんですけれど、これは店頭公開をしています。イベントの制作をやっている会社でその最大手なんです。そこは今から6年ぐらい前からのおつき合いです。
社長に初めてお会いしてお話を伺ってみると、自分は大学在学中にこの会社を設立してやってきたが、このイベントの業界はまだ非常に社会的地位が低く、産業として認知されていない。何故かというと、6〜7人ぐらいまとまるとすぐ会社として独立出来るので、小さな会社ばかりで範となる会社が無い。自分の父親に、イベントの制作をしていると言っても、何だそれは?ブローカーか? と言われる始末。イベント業界をもっと伸ばしていきたい。
そのためにはやっぱりIPO※をして社会に認知されて、自ら範になることでそれを競合他社にも教えていって業界の地位を上げたいという志を持たれて、それで公開するにはどうしたらいいんだと。そこで私と知り合う機会ができたんです。
そのときTOWは、六本木の雑居ビルの中に入っていて、社内は資料の山が崩れそうでもう本当に汚いんですよね。朝9時半からなんですけれど大体11時過ぎないと社員はいなくて、いや9時半ぐらいから社員はいるんですけれど2日、3日徹夜してそこに、床で死んでるんです(笑)。管理部門の担当は女性2人で、創業以来の社員でちょっと一緒に仕事をするのはどうかな……という感じの人。で、初め経理の方を御紹介したんですが、彼はすごく評価が高かったんですが1年でやめちゃったんです。何故かと理由を聞いてみると、イベント業界の特殊性が良く理解出来てきました。特徴として経費に関してかなり甘く、要はどんぶり勘定なんです。彼はもともと小売業の出身だったんですけれど、小売業は経費を削って削って、結果こういう利益になりました、となる。経理としてはすごくやりがいがあったんです。ところがイベントの業界というのは、例えば都市博で青島都知事になって5,000万円予定していたものが1,000万円にしかならない。どこまでが売上に上がっているかいないかも、口約束が多い上に売上の計上基準もいいかげんで、経費の管理なんかなっちゃいない。
元々イベントの業界と言うのは、発注側担当者の自己満足のためにお金を使っちゃうところがあるんですね。例えば、初代セルシオの新車発表会の時に、東京フィルに特別に依頼してセルシオの歌をつくってもらったんだそうです。多分セルシオの歌というのが公の場でかかったのは発表会でスモークがたかれて当時のトヨタの社長がゴンドラですーっとおりてくるその30秒間だけです。そこでセルシオの歌がジャーンと流れてすーっとおりてくる。それだけで1,000万円です。「いやー、よかったよ」とか担当者同志で手を取り合って喜んでそれで終わりなんです。それで1,000万円かけちゃうわけですよ。だから原価意識は本当全然ないんです。
発注側の担当者とイベント側の担当者で何かこうやっていて、芸術がかっているというか自己満足に浸ってる。こういうのは、経理としてやってられないですよということだったんです。なるほどと。じゃあやっぱり紹介するのは荒っぽい業界の出身者がいいんだなと学習しまして、次に不動産業界の方を御紹介差し上げたんです。彼が頑張ってくれて経理の流れができ上がったんです。次には総務の流れもつくらなきゃいけない。そうやってひとりひとり紹介していって、結果的に管理部門はその総務の部長さん以外全員私が紹介しました。TOWの川村社長は、「辻口がいたからうちは公開ができたんだ」と、ありがたい事をおっしゃっていただいています。業績は非常に堅調でして当時は経常が1,000万円、2,000万円の世界だったんですが、前期は経常が7億5,000万円。次の飛躍に向けて、また人が欲しいと言ってくださって、今またお手伝いをしています。
※IPO(Initial Public offering)=企業が株式を新規公開すること。 |
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